雑草は庭にだけ生える

 スギナ、メヒシバ、スズメノカタビラ、スベリヒユ、カタバミ、ヨモギ、シロザ、。。。


 季節によって栄枯盛衰があるにせよ、あれよあれよと雑草が生えてくる。


 雑草は庭にだけ生える。もうすこし丁寧に言えば、庭、花壇、畑、田んぼ、牧草地、ゴルフ場、造成地など、人の手がかかったところにだけ生える。雑草は人の手を借りないと生えてこれないのだ。草むしりで生える雑草、踏まれて広がる雑草、耕されて増える雑草、除草剤で生き残る雑草。とにかく人の手が要る。雑草を駆除する唯一の方法は、放っておいて藪にしてしまうことだ。さすがにその方法はあまり実用的ではないけれど。


 土地に対する建物の配置を決めるときに物置やカーポート、そして植栽や庭を考える。洋風ガーデンにするか、日本庭園にするか、家庭菜園もやりたいのか。バックヤードをどこにレイアウトするか。コンポストを設置するとしたら臭い対策はどうするか。住宅の中の日射取得だけではなく、周囲の建物が四季に外構に落とす影はどうか、水はけとか。GL(グランドライン)を+何ミリにするか、とか。


 それほど広くない敷地でも緑が無いと寂しいし、収穫の楽しみも少しは味わいたい。そんなこんなで、一応目指したのがオープンエクステリアのナチュラルガーデン。自然な雰囲気にすれば雑草が生えてもあまり目立たない。そもそも、何十年も休眠して、30センチ以下の地下から生えてくるような雑草を根絶できるわけないもの。


 除草剤も使わないこともないけど、基本は気の向くままに草むしり。完璧なんて目指さない。放っておいて草が生えてくるなんていうのは、温帯モンスーン気候の日本ならではであって、草むしりなんて日本の固有イベントみたいなものだ。楽しまなくちゃ。


 ふと気がついたら、ナスがなっていた。青唐辛子をいっしょに収穫して、細かく刻んでしょうゆをかけて浅漬けにする。このあたりでは「だし」と呼ばれる漬物だ。夏の風物詩。


 それとこのあたりには、草木塔というのがある。分譲地などではほとんど見かけないが、昔からの土地がそのまま残っているようなところだと、路傍に苔むした石がおいてあって、草木塔と刻んであったりする。たとえ草や木といえども命があって、その命を奪うことで、人間が飢えをしのいだり、家を建てて雨風をしのいだりしている。その犠牲になった植物の命を供養し、感謝を捧げる塔である。


 一条工務店のアイ・スマートはフィリビンの木材を使った2×6工法だ。果たしてフィリビンにも草木塔みたいな信仰があるのだろうか。あってもなくても日本の家屋に姿を変えたフィリビンの木に感謝である。ありがとう。