夏至の日食

 昨夜は天の川がきれいだった。新月で月が無い分、彦星(アルタイル)と織姫(ベガ)の間に横たわる天の川は、南はいて座から北はカシオペア座まで、銀河宇宙の姿そのままに見えた。


 牛飼い座に明るく輝くオレンジ色のアルクトゥールス付近から、ヘルクルス座とかんむり座の間に流れ星がすっと一筋。


 天頂付近の星を眺めるには、アウトドア用ベッドが一番。でないと、流れ星が流れる前に首が痛くなる。それとこの季節でも外の夜は寒いので、防寒対策を忘れずに。


 それとあると嬉しいのが双眼鏡。双眼鏡の選び方は、ひとそれぞれだが、明るくて視野が広くて軽いものがオススメ。「倍率」という数字のトリックに心理的誘導されないよう意識したい。できれば、近距離まで見られるとさらにいい。暗くてぼんやり大きく見えるより、明るくくっきり広く見える方がいい。


 まず視野が狭いと目的の星を捉えられないばかりでなく、手でもっていてぶれまくるので見づらいのだ。次にアウトドア用ベッドで持ち続けるのだから、ちょっと重いだけで、腕が疲れてしまう。近距離まで見られるといいのは、星だけでなく、花や虫、美術館など使える対象がぐっと増えるからだ。


 双眼鏡を手にしたら、まず見たいのが、いて座の直下にある、みなみのかんむり座だ。ネットで調べると肉眼星数40個とあるが、嘘つけ、という感じである。一応天の川が見えるここでも、目を凝らしてもみなみのかんむり座はまず見えない。でも双眼鏡を向ければ、リアルにまたたく星々が浮かび上がる。


 双眼鏡に限らず、望遠鏡や顕微鏡は、光という情報を集める機械だ。だから倍率ではなく対物レンズの大きさがその指標だ。集光力は、対物レンズの面積に比例する。


 だから、絶対に太陽に向けてはならない。シャレにならない目玉焼きになってしまう。


 今日は日食。安全に日食を観察するには、太陽を直接見ない投影法がおすすめだ。まがい物もあるので、日食めがねもあまりおすすめできない。双眼鏡で直接太陽をのぞくなどというのは、もってのほかだ。ピンホールから太陽の光を投影しよう。クラッカーの穴は、自分でアルミホイルにつまようじで穴をあけるより精度が良くて具合がいい。投影距離まで1メートル離せば、太陽が約1センチの大きさに投影されるはずだ。


 ちょっと工夫が要りそうなのが、投影される場所。日中なら土間コンクリートでいいのだが、夕刻で太陽高度が低いから、一条工務店のアイ・スマートのハイドロテクトタイルに投影できるかしらと、悩んでいる最中である。さすがに建築前に、日食観察のための投影場所まで思い及ばなかった。


 そして今日の6時44分に今年の夏至を迎えた。いままでどんどん短くなっていた影法師が、再び長くなってゆく。そんな日である。


 まもなく七夕。短冊の願いはいつも同じ。みんな健康で毎日を笑って過ごせますように。


 暑中お見舞い申し上げます。


 追伸、なんとブルボンのクラッカーは、リッツのクラッカーより、穴がでかい!急きょピンホール投影機の自作にとりかかりました。