HEMS、まさかのメリット

 久しぶりに青空が広がる。一面の雪が日に照らされて眩しい。


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 どどーん、と凄まじい音。ソーラーパネルからの落雪だ。


 外構の設計で落雪エリアはかなり広くとったつもりだった。それでも、うずたかくなる雪を放っておくと、そこに落雪が跳ね返って、窓ガラスに当たる。そうなる前に、なんとか雪を移動しなければならない。伝統的な家ならば、雪囲いをするのは当たり前だし、雪をおくスペースも十分にある。住宅地では、なかなかそうもいかない。


 太陽光の発電を示すランプが緑色にともる。発電が消費を上回ったサインなのだが、このあたりでは、もうひとつ意味があることに気づいた。除雪の安全サインだ。残念なことに、このあたりは落雪に巻き込まれる事故があとを絶たない。しかし、この太陽光の発電ランプが緑色になれば、落雪に巻き込まれる心配はない。除雪作業開始!だ。


 この冬は、年末から続く寒波で全国的に電力需給が逼迫していた。冬場の太陽光は期待できないし、着雪と低温で効率の悪いヒートポンプを使うよりかと、給湯と床暖房は、意図的にガス運転にしたりした。節約できないのが、給湯機の凍結予防に使う電力だ。これが結構ばかにならない。


 そんなこともあって、久しぶりの太陽光発電をきっかけに、電力会社のWEBアプリを開いて使用電力を見た。


 ちょっと待て、おい!


 驚いた。電力使用量の棒グラフが1月23日の一日だけ突出している。よくサイトをみたら、お知らせが書いてあった。電力システム改革として、改正された電気事業法で、法分離された送配電会社が、スマートメータのアプリのアップデートをしくじったらしい。



 世界に出遅れた日本のIT教育が、深刻な人材不足を生み、付け焼刃で教育をしようといっても、すぐには解消できない。そのツケが現れた格好とも思える。




  仕組みだけ作って、急がせたところで、現場にしわ寄せがいくばかりだ。



 こうなると、スマートメーターのアプリだってうかうかと信用できないのは当たり前だ。


 ふと思い出したのがHEMSだ。一条工務店のアイ・スマートのオリジナルHEMS(ヘムス、ホームエネルギーマネジメントシステム)は夢発電システムと連動している。いつ、どの部屋で電気を使っているか一目瞭然だ。さきの、給湯機の凍結予防運転に使う電力がばかにならないと書いたのも、HEMSを見てのことだ。


 HEMS専用タブレットを操作して、1月23日の消費電力の詳細を確認する。そんなに突出した電力の使い方はしていない。なんだかほっとする。ちょっと高いと思ったが環境への意識を高めようと思って導入したHEMSだったが、まさかこういう場面で安心感を与えてくれるメリットがあるとは気がつかなかった。ありがたや、ありがたや。