水回りは水道課が知っている

 秋が来ないことをいいことに、花もつけず、とち狂ったように大きくなったコスモスが、このところの涼しさで、ようやく花をつけはじめた。


 そんななか、地域の小学校を会場にして、市が主催する防災訓練があった。地震がきて、小学校に避難所が開設されたという想定だ。


 地球が壊れ始めて、防災意識を高めようとやっきになっている反面、意識だけではどうにもならず、行政も若干混乱のていだ。


 建物に関する展示もあった。在来工法で筋交いがなかったときにどれくらい揺れがひどくなるかというものだった。でも、2×4などには触れておらず、耐震等級も触れてなかった。


 うーん、行政大丈夫か?と思いながら、校庭にとまっている車をみた。NTT docomo、東北電力、消防署、こういったところは、しっかり輪留めにロープをかけて駐車している。災害現場で、坂だったりすると、車が勝手に動き出して、二次災害につながるからだ。駐車方法だって防災訓練だ。防災訓練に対する本気度が感じられる。


 市役所関係で、本気だなあと思ったのは、水道課の給水車だ。担当の方の水回りの知識は半端じゃない。トイレの種類から、床下の通風孔まで。「公的な立場なので、お勧めというわけにはいかないんですけど」と前置きしながら、災害時の断水時の対策、凍結対策、水抜き栓の取り扱いまで、ほんとうに詳しい。


 給水車に凍結防止のヒーターが搭載されているのは、それほど多くないらしい。県を越えて給水作業の応援に行ったときに学んで搭載した、と自慢げに語っていた。市で保有している給水車は2台、価格と寿命から割り出すと1年あたりの市民の負担額は100円にも満たない。これは、買いでしょ、と思った。


 「ここ10年ばかりに新築したお宅は、ぜんぶ私が見ていますから、たぶんお宅も見てますよ」


 なるほど、そうだよね。公的な立場なのでどこまで具体的に聞けるかは別としても、新築前に市役所の水道課に相談にいくのはアリだったなあ、と今さら思ったのだった。


 蛇口をひねって水が出る。トイレで水を流せる。この当たり前を支えるために、本気で仕事している人がいることを改めて実感し、ありがたいことだと思えた防災訓練だった。


 ちなみに、会場には、損〇ジャ〇ンの展示?もあった。着ぐるみを来て、子どもに愛想をふりまいていた。防災訓練だよね?現場の人ががんばっているけど、上層部が、、、というのは、いまどきの日本アルアル。でも、上層部が、、、だから、現場の人もさもありなん、というのもあるのだなあ、と思った。