日本人の清潔さ

 霜注意報の気象情報の通り、今朝も0度まで冷え込む。省エネといってもやせ我慢してまで節約する気もないので、床暖房を入れたり切ったりしている。それでもHEMSで見てみると、一時期40%を超えていたエコワンの電力が、このところ20%を切っている。少々寒くても、天気がいいと、窓を開けて風を入れたくなる。


 住宅の高気密化で社会問題になったシックハウス症候群を受け、建築基準法で24時間換気が義務付けられたのは2003年。温帯モンスーンで湿気が多く、かびが生えやすい日本の風土にあわせて、もともと日本家屋は風通し良く作られていた。隙間風が入ると寒いので、住宅の高気密化だけ先行したら、ちょっと失敗しちゃったということだ。そんなわけで、一条工務店のアイ・スマートでもロスガード90が動いている。ウイルス対策で避けるべき「三密」のうち、密閉空間はもともと日本の住宅にはなじまないのだ。


 日本の住宅が風通しがいいのは、煙突がないことも一役買ってる。囲炉裏の煙は開け放った戸口から外に出る。煙突がないのは、これまた日本の風土に関係があって、地震が多いからだ。伝統的な家屋は木造だし、西洋をまねた明治の赤レンガの建物は、関東大震災で壊滅的な被害を受けて、ほとんど鉄筋コンクリート(RC造)に置き換わった。


 日本人が世界で一番清潔な国民であることには異論の余地がない、と言い切るのは、トロイア遺跡の発掘で知られるシュリーマンばかりではない。怪談を著したラフカディオハーンも同じことを言っている。海外旅行でトイレを使って、実感として共感できる日本人も少なくないだろう。


 シュリーマンは清潔である理由に、家屋の風通しのほかに、お風呂と畳を上げている。ほとんど毎日肩までお風呂につかるのも、畳に靴を脱いで上がるのも日本の文化だ。時代が進んでフローリングになったとしても、日本人なら土足で家にあがることはまずないだろうし、そういう生活まで洋風を目指した住宅設計もあまりしないことだろう。


 加えて日本は小さな島国だ。アメリカやヨーロッパは通勤電車に乗るように飛行機を使う。大陸を移動するのに「三密」の飛行機を使わざるを得ないのだ。同じく飛行機で移動せざる得ない札幌や福岡の方に感染された方が多いのは気の毒なことだ。


 もちろん楽観視はできないし、ウイルス感染拡大抑制への努力に是非は無い。それでもありがたいことに世界からくらべるとウイルスの感染は抑えられているようにも見える。そこには、お風呂があって靴を脱いで上がる風遠しのいい日本の住宅が一役買っているのかもしれない。