なんちゃらイオンとウイルス

 マイナスイオンが健康にいいなんてやたら流行ってみたり、プラズマクラスターイオンでシャープが消費者庁の指導を受けたり、まあ何事も過剰な期待は禁物ということだろう。とりたてて望んだわけではないが、一条工務店のアイ・スマートにはパナソニックの天井埋込み式ナノイー発生機がついていて、ナノイーを発生させることができる。


 さて、マイナスイオンもプラズマクラスターイオンもナノイーも、針の先に高電圧をかけてコロナ放電と言われる放電で、空気を帯電させたものだ。ドライアイスの周りに霧が発生するように、ナノイーはその放電針の近くをペルチェ素子で冷却して霧を発生させ、OHラジカルを含むナノサイズの長寿命ミストにしている。まあ言ってみれば、酸素系漂白剤の超細かい霧吹きみたいなものだ。


 その霧が壁に付着しているウイルスを含む飛沫に溶け込み、ウイルス表面を酸化分解して不活性化する。この酸化分解の仕組みは光触媒のハイドロテクトタイルと同じことだ。


 トイレの匂いのほとんどは、空気中でなく飛沫が壁に付着して、そこから匂う。その対策としてトイレの壁をタカラスタンダードのホーローパネルにすることも考えたが、アイ・スマートの標準仕様から大掛かりな変更になることもあって、泡でトイレ使用時の飛沫を抑えるパナソニック製のアラウーノでよしとした。


 空気の入れ替えは24時間換気のロスガードにお任せするとして、壁に付着した汚れから常時発生する匂い対策としては、壁をきれいにするしかなく、ナノイーはその手間を幾分省いてくれると思われる。


 ナノイーのホームページには「室内に浮遊する菌やウイルスに的確に届き、除菌・抑制します」とあるが、「試験室(約6畳)においてウイルスを浮遊させ空気中のウイルス感染価を測定」とあるので、結果的に空気中のウイルスが減っただけで、浮遊するウイルスに的確に届いたという保証はなく、むしろ壁に対する効果ではないかと思っている。


 まあ、なんちゃらイオンがウイルスをはじめとする有機物を酸化分解することは、たしかに理にかなっている。過剰な期待は禁物だが、ハイドロテクトタイルと同じくらいの気休めにはなるだろう。