笑う門には福来る

 笑う門には福来る、とは、いつも笑い声が溢れる家には、自然に幸運が訪れる、ということだが、このコロナウイルスに伴う非常事態宣言でテレビのアナウンサーが深刻で悲痛な表情をしている。笑顔で話すと不快な思いをしたと誰かから訴えられると恐れているのかもしれい。福島の原発事故で、緊張をほぐそうと笑顔を促した専門家が法廷で糾弾された。


 だが、笑う門にはほんとうに福が来るかもしれない。大笑いすると免疫細胞の一つであるナチュラルキラー細胞が活性化するのだ。ナチュラルキラー細胞は、ウイルスに感染した宿主細胞を攻撃し、細胞ごとウイルスを殺す文字通りの殺し屋だ。


 免疫細胞が宿主細胞を殺すときに使う武器が、サイトカインと呼ばれるたんぱく質群だ。免疫系が暴走するとサイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥る。このあたりは、リウマチ患者やその家族には決して耳新しい話ではない。だから今朝ニュースで聞いたリウマチ治療薬であるトシリズマブで、サイトカインであるインターロイキン6をブロックして、コロナウイルス感染症の治療に使おうという話はわからないでもない。


 ただトシリズマブのようなの生物学的製剤は、お値段が高い。製造にもとても時間がかかる。


 やはり大笑いしてナチュラルキラー細胞を活性化する方が安上がりだ。


 くしくもコロナウイルスで亡くなられた志村けんさんは、亡くなられても多くの人を笑いに誘った。今さらながら素晴らしい仕事をされたと思う。


 今日という大切な一日を、妙に深刻な表情で過ごすも、ほがらかな笑顔で過ごすも、その人次第だ。


 いつもお互いに笑顔で会うことにしよう。笑顔は愛の始まりだから。


 ノーベル平和賞を受賞したマザーテレサの受け売りでした。