屋根葺き材とルーフィング材

 夜に雨が上がると、町の濡れた屋根に月の光が反射してなかなか風情が楽しめる。といっても自宅の屋根のそれを眺めることはまずないだろう。設計士の方が「屋根の色を何色にしますか?見えないんですけどね」と言ったのを覚えている。「破風と同じアイボリーホワイトでお願いします」と言ったものの、本当にアイボリーホワイトなのかいまだにわからない。雪下ろし作業のためのはしごがない一条工務店のアイ・スマートだと、お隣さんの二階にお邪魔するか、Googleマップに掲載されるのを待つしかないのかもしれない。


 アイ・スマートは屋根葺き材はガルバリウム鋼板かソーラーパネルかだ。寒冷地だと凍害があるので瓦のような多孔質材料は原則として使えない。穴に春先の雪解け水がしみ込んで体積膨張するときに割れてしまう、凍害を受けやすいからだ。その点、茅葺きは寒冷地の自然ともっとも相性がいい。しかし消防法で禁止されているし、茅葺き職人がいなくなってしまったので、もはや現存する古民家のみだ。ガルバリウム鋼板はトタン板の進化形で、アルミニウムのアルマイトの耐食性で亜鉛の犠牲腐食を抑えて寿命を延ばしたものだ。金属葺きでなら銅が一番だろうが、採用できるのは坪単価を意に介さないような寺社仏閣ぐらいなものだろう。ソーラーパネルは発電効率が徐々に下がるものの、新興の屋根葺き材としては寿命が長い。


 屋根葺き材の下に敷かれているのがルーフィング材だ。ルーフィング材はハウスメーカー一任になることが多く、ほとんど選択の余地がないので、ハウスメーカーを選ぶ決め手のひとつでもある。アイ・スマートのルーフィング材は改質アスファルトルーフィングだ。改質アスファルトルーフィングにもいろいろあるが、アイ・スマートが採用しているルーフィング材は優れものだ。一条工務店の住まいの体験館に参加して、ルーフィングにビス止めしても、水漏れしなかった。自分の手でぎりぎりと水中でビスをねじ込んだにも関わらずだ。そのとき「参りました、一条工務店のアイ・スマートにします」と心を決めた。


 木造住宅は水との付き合い方が躯体の寿命を決める。多雪地帯で春の雪解け時に雨漏りしないというのは住宅を選ぶ最優先事項だ。ハウスメーカー選びのときは、屋根葺き材とルーフィング材もしっかり見極めたいところだ。


 この冬は記録的な雪の少なさで、あたりにもう雪はない。今朝もちらほら雪が舞っていたが、名残り雪というものだろう。卒業式の季節だ。このコロナウイルスのせいで中止を余儀なくされた学校も多いかと思う。それでも人生の節目であることには変わりはない。たとえ式が中止になっても次へ向かってひとつの節目を終えた子供たちに、おめでとうと言ってあげたい。