おはよう!

 目覚まし時計のベルを止めて、電動ハニカムシェードのリモコンを操作する。舞台の幕が一斉に上がって窓から朝の外の景色が目に飛び込んでくる。


 今朝の気温は氷点下。室内との温度差は20度差以上。一条工務店アイ・スマートのクリプトンガス封入のトリプルサッシでも、窓の下の隅にコインほどの結露ができる。


 ダイニングの窓から空を見れば、日が昇る前のバラ色に輝く雲の下を雁が列をなして飛んでゆく。


 椅子に腰かけて紅茶を淹れる。今朝はアールグレイよりダージリンがいいかな。ダイニングの窓の左手に植栽のヒメシャラ、その奥に隣家の葉の落ちた梅の木、黄色い葉が残る大きな栗の木と続く。右手にはすっかり葉の落ちた槿の木があって、その木々の間に畑が見える。そこには大根の葉っぱ、人参の葉っぱ、一番奥には葱の葉っぱが植えてあって、降りた霜で真っ白になっている。


 その畑の片隅にカラスが一羽舞い降りた。畑に捨てられている残飯をあさりに来たのだ。いつも畑のレストランにやって来るこのカラスに「カンザブロー」と名前をつけている。


 そのカンザブローが雌のカラスを連れてきた。いつも独り占めしていたレストランに誰か連れてくるなんて。早速彼女を「カーコ」と呼ぶことにした。


 カーコ、おはよう!はじめまして。


 心なしかカンザブローはカーコに気を使ってレストランの席を譲っているように感じる。


 気づけばもうリビングに陽が差し込んでいる。残っていた紅茶を飲み干すと全開にしていた電動ハニカムシェードを再び少し下げて影を作る。


 さあ今日も新しい一日の始まりだ。