木造軸組工法(在来工法)をやめた訳
山の紅葉がだんだんふもとに降りてくるのを見ると、ああまもなく雪の季節がやってくるなあ、と実感する。
木造住宅には、木造軸組構法(在来工法)とツーバイ(2×)工法がある。ツーバイフォーが一般的だが、一条工務店のアイ・スマートはツーバイシックスだ。
住活をはじめてしばらく、アパート、マンション、中古などを見て歩いた。これは新築の方がいいかもなあと思った。それでハウスメーカーや地元工務店を調べはじめた。だいたい飛び込みで内覧会や展示場に行って、最初の質問は屋根の耐荷重だった。この地方では積雪との付き合い方が生活の質を左右するからだ。
屋根に雪を載せたまま、雪下ろしをすることなく雪を自然処理する屋根を無落雪屋根と言う。しかし屋根の耐荷重が足りないと、屋根に積もった雪の重さで、ドアが開かなくなったり、ことによっては屋根が陥没したりする。
木造軸組構法の地元工務店に聞くと、「ぶっとい梁を使えば、無落雪やれますよ」などの回答。つまり木造軸組構法で無落雪にするには値段が嵩むのだ。というより無落雪屋根にせずに雪下しをすることを前提に、材料費を抑え建物の値段を安く設定していると言った方がいいだろう。地元の建物では雪下ろしのためのはしごがかかっている住宅が多くみられる。
しかし、雪下ろしは吹雪の中の重労働であるし、そのときの屋根からの転落事故が絶えない地元だ。無落雪屋根は捨てがたい。
ツーバイ工法ではぶっとい梁を使わなくていいので、リーズナブルな価格で屋根の耐荷重を大きくできる。地元では「一条工務店は高い」というもっぱらの噂だが、それはぶっとい梁を使わずに雪下ろしをする家と較べた場合だ。
一条工務店の展示場では、そこのたまたま居合わせた人が耐荷重を即答。その数値は軽量鉄骨造のハウスメーカーのそれを上回り、そこの展示場の営業さんを驚かせた。
一条工務店がハウスメーカーの選択肢の中で大きく浮上し、木造軸組構法ではなくツーバイ工法に傾いたのは、そんな訳だった。
ちなみに平屋は、二階部分の建物の重みによる荷重が低減される分、屋根の耐荷重にゆとりが出る。
一条工務店のアイ・スマートには、はしごは無いし、営業さんは、今まで雪下ろししたことはありません、と笑顔で話す。
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