デリシア(ガス)vs.ビストロ(電気)

 4月の声を聞くと、さすがに雪はほとんどない。あれだけ積もった雪が、うそのようだ。桜のつぼみも大きく膨らみ始めた。


 食べる楽しみも大切にしたいのだが、後片付けやらなにやら考えると、なかなか時間が取れないのも実情だ。でもたまにはおいしいものを食べたい。


 たとえば、鮭の切り身の西京漬け。


 デリシアで焼くか、ビストロで焼くか。


 デリシアは、ガスコンロ。ビストロは、スチームオーブンレンジ。


 デリシアには、グリル焼き網、ココットプレート、ココットダッチオーブン、ココット(別売り)、ザ・ココット(別売り)などの調理鍋がある。名前にみなココットがついていて、紛らわしいことこの上ない。


 鮭の切り身の西京漬けを焼くなら、ココットだろう。別売りだが、お餅を焼いて食べるのにもココットがあった方がいい。


 住宅の暖房もそうだが、加熱には、伝熱、放射、対流がある。


 ホットプレートやフライパンで魚を焼くのは、伝熱。伝熱を使った調理法は、ソテーと呼ばれる。


 ロースターや囲炉裏で魚を焼くのは、放射。放射を使った時間をかけた調理法は、ローストと呼ばれる。天火を使ったオーブンで丸焼きににする、ローストチキンがこれだ。ちなみにオーブンの湿度を下げた調理法は、ベイクと呼ばれる。ベイクドチーズケーキなど。


 焚火の上に網をおいて、魚を焼くのは、対流。対流を使った短時間の調理法は、グリルと呼ばれる。バーベキューがこれだ。


 どういうわけか、ガスにしろIHにしろ、コンロの下の焼くところはグリルと呼ばれる。天火なのだから、ロースターの方が妥当ではないかと思う。まあ定着してしまった呼び名に逆らっても仕方がない。


 ココットはガス火の対流を、遠赤外線に変えてしまう。かまどやオーブンのような加熱環境を作る。


 鮭の切り身の西京漬けは、ふっくらジューシーに焼き上げたい。味噌をあまり焦がしたくない。それで、デリシア+ココット調理が好みとなった。


 ちなみに、お惣菜の焼き魚。


 これはもう、スチームオーブンだ。マイクロウェーブを使う電子レンジの直接加熱だと、どうしても加熱むらができてしまう。その点、庫内に水蒸気を満たして、その水蒸気をマイクロウェーブで加熱することで、ふっくらジューシーな焼き魚が見事に復元される。


 ただ、日本料理では、生の魚を焼くことはあまりない。


 海の魚はいいとして、川の魚には寄生虫のリスクがあるからだ。サンマは、そのまま焼き魚でもいいが、鮭は塩引きや西京漬けにしてからだし、鮎は甘露煮の方がいい。ローストは表面を焼くのがいいのだが、しっかり中まで火を通したいときには不向きだ。


 軟水が豊富な日本で、鍋に水を入れて煮ることを考えたとき、ガスよりも熱効率の高いIHコンロに軍配が上がる。