ウッドデッキの干し柿

 山並みのいただきがパウダーシュガーを降りかけたように白くなった。街路樹のナナカマドやハナミズキからは赤い実が歩道に零れ落ちている。空はすっきりと晴れている。風は冷たい。それでも明るい陽射しはとても嬉しい。


 計算された初冬の太陽の角度どおり、南の隣家から長く落ちた影はウッドデッキの手前で踏みとどまっている。


 和室の掃き出し窓から続くウッドデッキは、一条工務店のアイ・スマートで唯一「軒」を設けた場所だ。夏には風鈴や七夕を吊るしたその軒に、今度は皮を剥いた柿を紐で縛って吊るした。干し柿作りには日当たりと風通しが欠かせない。


 吊るされた柿が夕日に照らされ光り輝く。それが通り抜ける風に吹かれてゆらゆらと向きを変える。座布団を半分に折って枕にし、ごろ寝しながらそれを眺める。まさに里の秋の風情だ。思わず、天井の上が太陽光パネルではなく茅葺き屋根であるかのような錯覚に陥った。