全館床暖房と楽器

 夕方に東の空からオリオン座がのぼって星空がきれいだと、放射冷却が心配になる季節である。床暖房を入れるべきか、どうするか。


 全館床暖房は一条工務店のアイ・スマートの代名詞とも言える。快適のみならずヒートショックを和らげるなど健康維持にもありがたい。特に寒冷地仕様のアイ・スマートでは、玄関にも床暖房が入る。吹雪の外出から帰宅すると上着から落ちた雪や長靴についた雪で玄関がびしょびしょになる。これが玄関床暖房だとすぐ乾くので玄関で滑って転ぶリスクも減る。


 しかし、全館床暖房で困ることもある。


 まずは、野菜置き場。米ならまだしも、果物など床に置こうものならあっというまに傷んでしまう。冷蔵庫に入らなければ物置か床下パントリーしかない。


 家具やら敷物にも「床暖房対応」のものでないとならないという制限を受ける。


 乾燥しやすいので湿度にも気を使う。


 極めつけは楽器だ。


 「湿度は気をつけてください。お琴が割れたことがあります」


 木製楽器は特に注意が必要だ。


 ピアノを置くときに、断熱対応の補強板を強く勧められた。一条工務店ではなく楽器屋さんからだ。床暖房でピアノが割れたことがあるそうだ。


 床の上にあるものに応じて、放射熱を通したり、断熱したり、と床暖房もなかなか面倒な側面もある。


 ちなみにピアノの足のインシュレーターは、耐震タイプがお勧めだ。もっとも、断熱対応の補強版と耐震タイプのインシュレーターを組み合わせると、ピアノのペダルの位置が若干ずれるので、そこまで演奏にこだわるなら、床暖房を諦めるしかないのかな?