瓦とレンガをやめた訳

 季節の移ろいは早く、プラタナスの葉が黄色になり、一枚また一枚と風に吹かれて飛んでゆく。秋が暮れると、駆け足で冬が来て、そして雪解け。待ち遠しい春がやってくる。


 この雪解けのとき、水を含んだもっとも重い雪が屋根にのしかかる。そして屋根の上で雪解けと再凍結を繰り返す。


 もし、屋根が瓦だと解けた水が瓦の穴に浸み込み、再凍結の際に体積膨張を起こし、瓦をいとも簡単に割ってしまう。いわゆる凍害だ。


 「瓦は割れるから、やめた方がいいですよ」


 一条工務店の営業さんは、苦笑いしていた。


 レンガも水を吸うので同じことが起きる。


 地元のレンガ造り風の住宅に近づいてみると、レンガの装飾を施した金属系サイディングであることが多い。このような凍害は窯業系サイディングの外壁やコンクリートの外壁も気をつけなければならない。


 どうしても瓦やレンガを使いたければ、吸水率の小さな特殊なものが必要だ。


 一条工務店のアイ・スマートのサイディングのハイドロテクトタイルの吸水率は1%程度ということだ。また屋根はトタン板から進化したガルバリウム鋼板だ。百点満点の建材などどこにもないが、少なくとも瓦やレンガよりずっと凍害に強そうだ。