土の匂い
朝からの雨で濡れそぼる庭。窓を開ける。冷たい空気とともに土の匂いが香る。
気密住宅だと、隙間風が入らないから、寒さを感じないけど、土の匂いがわからない。ふと思った。寒さを感じないことはいいことなのか。
寒いと人は寄り添う。古民家で囲炉裏を囲む人々には心の和みを感じる。人の温もりと絆を感じる。
心の温かさと家の暖かさが反比例するとまでは思わない。
だけどなー。なんかなー。
平屋コンパクトな家の方が人の距離が近い気がする。
やっぱり寒いから窓を閉める。トリプルサッシはずっしり重い。開け閉めに少々難儀する。その窓越しに、しとしと雨の半日陰で咲くホトトギスの花を眺める。地味で華憐な薄紫色。でも冷たい空気と土の匂いがないと、なんだか少し物足りない。
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