台風と床下パントリー

 一条工務店のアイ・スマートのオプションを検討しているときだ。営業さんと設計さんは、「床下パントリーはあまり使いませんよ」と言った。それでも5連の床下パントリーを採用した。


 床下パントリーは床下点検口も兼ねている。入居まもなくガスの匂いに気づいたとき、ガスの施工業者が真っ先に大きい体をねじこむように床下に潜り込んで点検した。


 普段から、床下パントリーに入れているもの、それが防災グッズだ。保存食、飲用水、懐中電灯、電池などである。保存食と言っても消費期限がある。ひきこもりを決め込んで台風をやり過ごす間、消費期限の近い方から食べた。


 全館床暖房のアイ・スマートでは、冷蔵庫に入らない野菜の置き場が無い。うっかり床におくとあっと言う間に傷んでしまう。急にお隣さんからいただいた野菜や、送られてきたひと箱のサツマイモなど、やはりいったん床下パントリーのお世話になる。手作りのぬか漬けや梅酒を楽しむのも床下パントリーの出番だ。


 たしかによっこらしょと持ち上げる床下パントリーのフタは便利とは言えない。床下パントリーをあまり使わなくなる気持ちもわかる。


 面倒くさいからと言って、フタをあけたままにすると、ごうごうと音を立てて空気が入ってくるのがわかる。それでは、せっかくの気密断熱性能が台無しだ。またフタの部分はパイプが通らないので床暖房は入らない。


 それでも風雨で荒れまくる戸外に出ることなくアクセスできる防災グッズ置き場として、床下パントリーは重宝できる。