HEMS(ヘムズ)

 秋の虫の音を聞きながら、夜空にぽっかりと浮かぶ中秋の名月の眺める。


 外気温がちょうどいいので、エアコンをつけることなく、トリプルサッシを開放して網戸にする。途端、虫の音の大合唱が部屋に飛び込んでくる。


 HEMS(ヘムズ)とはホームエネルギーマネジメントシステムのことだ。配電盤から各部屋のコンセントにつながる配線にセンサーがついていて、どのコンセントでいつどれくらい電気が使われたかがわかる仕組みだ。その詳細は一条工務店のHEMSタブレットやスマートフォンで確認できる。


 いつも上位にくるのがダイニングキッチンだ。電力消費の大御所は冷蔵庫だが、さすがに消すわけにいかない。時間帯別では朝の電力ピークが炊飯器だ。秋になって日が昇るのが少し遅くなるのにつれて、太陽光発電も少し立ち上がりが遅くなっている。HEMSに設定した電力目標値を上回ったのはそのせいだ。明日から太陽光発電の立ち上がりにあわせて少し炊飯時刻を遅らせよう。食洗器や電子レンジは思ったほど使ってないけど、太陽光発電の時間に合わせるのが難しい。そして次に来るのが洗面脱衣室だ。洗濯機と乾燥機、それにドライヤー。そんなこまごまとしたところがビジュアルにわかる。


 この涼しさだとエアコンを使わない。このところ一条工務店のHEMSタブレットの電力消費の円グラフにエアコンの項目を見かけない。カレンダーを遡って電力消費の円グラフを見ると、暑かったときにリビングの主力エアコンが電力消費のトップにいたことを思い出す。


 まさかHEMSタブレットの電力消費の円グラフに季節の移ろいを感じるとは。遠くを走る夜汽車の音を聞きながらそう思った。