配置と日当たり

 秋の日はつるべ落とし。茜色の残照を残して西の山の端に沈む太陽の位置がじわりじわりと南側にずれていく。


 ウッドデッキや掃き出し窓の近くでひなたぼっこを楽しみたいというなら、日当たりを意識して建物の配置を決めることになる。特に冬にどんよりとした曇り空が多くなる多雪地域では、冬の日当たりがとても貴重だ。


 地球の自転軸は公転軸に対して23度傾いているので、北緯38度の地域の夏の太陽の仰角は90+23-38=75度、冬の太陽の仰角は90-23-38=29度となる。冬場、建物の掃き出し窓から日光が入るようにするには、南側の建物から、その高さ÷タンジェント29度の距離をとらなくてはならない。その距離が冬に南側の建物が作る影の長さだからだ。


 一条工務店から提案される配置図には、周囲の建物の高さに関する記述はない。で、周囲の建物のだいたいの高さを自分で測る必要が出てくる。手を伸ばしてモノサシを垂直に持って建物の高さに見当をつけたら、そのモノサシを水平に傾けて目印を探す。そうして目印まで歩測で距離を測れば、だいたいの建物の高さがわかる。


 南側の建物の高さがわかれば、冬にできる影の長さを計算できる。あとはGLや基礎立ち上がり高さを念頭に配置と軒の位置と間取りを睨みつつひなたぼっこできる場所を作りこめるか検討する。計算が面倒なときは、周囲の建物ごと模型を作ってひなたにおいて影の長さを確かめるのも良い。計算と模型とどっちが面倒かは人によるし、両方やればほぼ間違いない配置を決められる。ポイントは周囲の建物が落とす影を季節ごとに予測することだ。


 もちろん、家で冬のひなたぼっこを楽しみたいならばの話である。