ラジオを聴きながら、借景で花火観覧

 敷地外の景色を、その庭の一部であるかのように利用することを借景と言う。


 直接の陽射しが来ないように、北側に配置したダイニングに設けた窓は、借景を強く意識して設計した。夏の朝に日が昇ると、隣地の畑、栗の木、田んぼ、山の稜線と続く風景が、トリプルサッシの白い窓枠にすっぽりと収まる。


 よく手入れされた緑豊かな畑には、キュウリ、ナス、トマト、トウモロコシ、キャベツ、カボチャなどが植えてある。宮崎駿の「となりのトトロ」に出てくるカンタのおばあちゃんの畑さながらで、その上に広がる青空と真っ白な雲のコントラストが眼に眩しい。


 昨日、近くを流れる最上川の河川敷で毎年恒例の花火大会があった。


 一条工務店の気密断熱性能で遮熱された快適なダイニングの照明を落とし、カップボードのダウンライトで間接照明。ナスとミョウガを細かく刻んだ浅漬けと味噌汁で晩御飯をいただきながら、花火が始まるのを待つ。


 ポンポンポポンと大輪の花火が窓枠いっぱいに広がる。まさに借景の妙。ラジオをつけると軽快なジャズが流れ始める。一条工務店の遮音性能のお陰で花火の音とジャズが適度に調和する。


 ラジオを聴きながら、借景で花火観覧。それを狙って間取り設計できるのは、やはり注文住宅ならではのささやかな楽しみだ。