寒冷地の暖房と給湯

 路面は、ゆうべの雪で真っ白だ。それでも降り積もるほど路面は冷えておらず、のぞいている青空からの光で雪は解け、アスファルトが黒く濡れている。ソーラーパネルから落雪するところまではいかず、今朝の太陽光発電量は微々たるものだ。


 HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)のパネルで確かめると、このところ電力の半分以上が暖房に使われている。冬になって床暖房を使うようになるとずっとその状態が春まで続く。寒冷地だからいたしかたない。


 最近、効率が上がったと言われるヒートポンプだが、エコワンダブルハイブリッドのヒートポンプユニットの仕様を見てみると、冬季暖房時で消費電力が0.5kWに対して、加熱能力が2.2kWだ。ただ冬季の条件は外気温7℃、水温9℃の条件がついている。この外気温と7℃というのは、今の季節だと街を行き交う人が「今日は暖かいねえ」と声を掛け合うぐらいの外気温なのだ。この季節は真昼でも氷点下の真冬日が珍しくない。原理的にヒートポンプは外気温より室外機の温度を下げなければならず、外気温が下がれば下がるほど効率が悪くなる。


 温度を下げれば結露する。氷点下の外気温より室外機の温度を下げると、結露ではなく着霜する。こうなるともはやヒートポンプは使えない。霜取り運転を余儀なくされる。霜を溶かすのに電力を使うのである。寒い日ほど霜取り運転が頻発して、肝心なときに暖まらないのだ。これはエアコン暖房でも同じことだ。


 エコワンのLPガスの暖房の加熱能力は13.7kW。ヒートポンプの約6倍の加熱能力だ。この6倍という数値が、ヒートポンプに較べたガス床暖の立ち上がりの速さだ。おかげで床暖をファンヒーターのようにお手軽に間欠運転して節約できる。ちなみにLPガスの給湯の方の加熱能力は44.2kW。ヒートポンプの20倍強の圧倒的加熱能力である。電力プランやお湯切れを気にかけることなく、寒いときにいつでもお風呂に入ることができるゆとりのパワーだ。


 エコワンの表示パネルを見ていると、お湯を使っていなくてもときどきぽっと黄色い炎のランプが点灯する。ああ外気温が下がってヒートポンプをやめてガスを使ったんだね、と思う。それとときどき雪だるまのマークが点灯する。凍結予防運転の表示だ。外気温を表示する温度計と見較べて、ああ、明日は冷え込みそうだな、と思う。そして、住まいの最重要機能が体温維持のアシストであり、アイ・スマートが外気から生活を守ってくれているんだと改めて実感する。


 日が照ってくると、ソーラーパネルから落雪して、発電が戻ってくる。買電と売電の関係を示すランプが赤から緑に変わる。今年は雪が少なくて過ごしやすいと言っても、三月までは、春を待ち焦がれながら雪に埋もれる生活が続く。春よ来い、早く来い、である。