木造住宅の弱点

 木造か、鉄骨造か、鉄筋コンクリート造(RC)か。


 構造別の法定耐用年数は、木造が22年、軽量鉄骨造が27年、重量鉄骨造が34年、鉄筋コンクリート造が47年。あくまで法定耐用年数である。


 値段が一番安いのは木造。木造でも従来の軸組工法より2×X(ツーバイ)工法の方が安い。一条工務店のアイスマートは2×6(ツーバイシックス)。それと木造は軽い。軽い分だけ、地盤改良費も安い。


 木造が安いと言ってもお寺や神社は例外。無垢材の太いのをふんだんに使えば、坪単価200万円を超えるなんていうことも珍しくない。


 木造はもともと暖かい。明治のころに西欧を真似たレンガ造りが流行った。しかし石造は冷えるし、結露しやすいので、すぐに洋館と呼ばれる木造住宅にシフトする。宮崎駿の長編アニメ「となりのトトロ」のさつきとメイの家の正面部分、と言えば思い出す人も多いだろう。大正時代から昭和初期に流行った文化住宅と呼ばれる洋館付き和風住宅だ。


 木造の最大の弱点は木材が虫に喰われることと雨漏りで腐ることだ。


 昔から重宝される檜(ヒノキ)は、含まれる香油のために比較的虫に喰われづらい。江戸時代の古民家では、囲炉裏の煙でいつも住宅の木材を燻し防虫していた。明治時代の洋館では、もともと船の防腐剤として使われていた亜鉛華と呼ばれる白いペンキが開発されて、それが使われた。一条工務店のアイスマートの一階部分の木材は、防腐と防蟻のための薬剤が加圧注入されている。それでも限度はあるので、外構と配置を決めるときには土から建物の距離を保つ必要がある。ガーデニングを楽しむなら、要注意ポイントだ。


 雨漏り対策としてはルーフィングの材料。ねじ止めの隙間から雨水が入らないようになっているか。片流れ屋根の場合は、ルーフィングが巻き込み施工になっているか。軒をつたって雨が入り込むことがある。雪の多いところでは、雨どい手前で凍った雪が鼻隠しや破風を壊し、断熱の甘い隙間から融けて侵入することも。


 水や水蒸気が、屋根や外壁の隙間に侵入して、そこで凍って体積が膨らんで破損する被害を凍害と言う。それで破損した隙間から水分が入れば、今度は木材がやられる。


 ちなみに雪の重みで折れた木材は、雪害として火災保険の風災の保証の対象になるが、凍害は風災の保証の対象にならない。


 また認定低炭素住宅を受けるための条件のひとつに「木造でつくる」という項目がある。木はその中に炭素を封じ込める働きがあるため、その木を使って家を建てることはCO2削減に効果があるらしい。


 どうやら日本では、木造の弱点をカバーしつつも、過去から未来まで木造住宅とつきあう定めにあるようだ。