ウェルシュ菌とクーリングアシスト機能付き冷蔵庫

 七月から九月は、細菌性食中毒の最盛期を迎える。


 飲食店で件数が多いカンビロバクターに対して、患者数が多いのはウェルシュ菌だ。ウェルシュ菌は、加熱しても死なない。胞子になって休眠する。ひと煮立ちして冷ます途中で、魔の50度帯を通過するとき、胞子は一気に発芽し、ウェルシュ菌は爆発的に繁殖する。


 ウェルシュ菌の食中毒は給食病の異名を持つ。給食センターでは大量に調理する都合、どうしても冷却に時間がかかり、魔の50度帯を速やかに通過できないからだ。給食センターで調理するカレーは、ウェルシュ菌の繁殖のリスクを抑えるため、前日の作り置きはできない。学校でカレーを心待ちにする子どもたちのために、朝早くから頑張って調理して、その日のうちに出食する。


 家庭で次の日に食べるカレーにも同様のリスクがある。魔の50度帯をできるだけ早く通過させることが肝要だ。


 最近、パナソニックからクーリングアシストのついた冷蔵庫が発売された。冷風を使って一気に食品のあら熱をとってくれる。魔の50度帯を早く通過させる頼もしい味方だ。時短にもなる。子どもの弁当を詰めるのに忙しいのは主婦ばかりではない。


 さて、最近の冷蔵庫の流行りは、観音開き(フレンチドア)である。観音開きは、冷蔵庫前面のスペースを節約できる反面、冷蔵庫の両脇に壁があると十分に開くことができない。キッチンの間取りを考えるときには、冷蔵庫のドアの開きを計算して壁からゆとりある設置スペースを取りたいものだ。