医薬品数千品目が出荷停止?

 来週はだいぶ寒くなりそう、と聞いてネットで気象情報を検索する。来週の火曜日の最低気温が3℃だって。床暖房の試運転をしておこう。あまり寒くならないうちにインフルの予防接種も受けておこう。かかりつけの病院にいく。ふと「セレコックスが入荷できないんで、……」と耳にする。ん?なぜ、そんなポピュラーな痛み止めが入荷できない?コロナのせい?薬局の薬剤師に聞いてみる。


 コロナのせいではなかった。いま、医薬品の流通は、大混乱状態に陥っている。薬剤師さんが言うには、必死になってやりくりしているそうだ。



 ことの発端は、小林化工。



 二人一組でやるはずだった作業をひとりでやって、調合する薬を間違えた。水虫の薬のかわりに睡眠薬を最大投与量の2・5倍も入れてしまった。水虫の薬だと思って、入院先でその薬を飲んでいた患者さんが亡くなった。


 コスト最優先と言ったって、安けりゃいい、というものではないだろう。患者の方も、「ジェネリック」は安いと十把一絡げにして、性能や品質をよく見ない。だからメーカーの方も安さだけ追い求める。品質が犠牲になる。悪循環。


https://www.kobayashikako.co.jp/information9/pages7/pdf/20210922.pdf?edit=20211016211114


 参加者も場所も明記のない小林化工の議事録。新入社員だって習う当たり前が、当たり前になっていない。くわえて抽象的で具体性のない政治家の答弁のような記述。業務停止命令期間満了したって?正直、ぼくには、信頼回復どころか、組織風土がそのままのように感じる。


 小林化工の事件をきっかけに、官があちこちの製薬会社に立ち入りをした。すると、類似の案件が続出し、出荷停止や出荷調整が、次々と起こった。くだんの痛み止めのセレコックスも、規格不適合で自主回収だそうだ。


https://med.sawai.co.jp/file/ka_29.pdf


 いま、医薬品のサプライチェーンはずたずただ。コロナで医療現場は疲弊してるし、医師不足が深刻で、3 時間待ちの 3 分診療は日常茶飯事。くわえて、薬剤師が医薬品を探し求めて、薬問屋を総当たり。


 もともと病気と闘うのは、患者本人ではあるけれど、こんなときには、いつも以上に、病気になりたくないものだ。