秋晴れの敬老の日

 台風の大雨の心配も、取り越し苦労に終わり、今朝は抜けるような青空。ちょっと暑くなりそうだ。


 地域住民の定義なんていうものは、人それぞれだろう。京都や大阪あたりだと、少なくとも三代そこに住み続けなければ、地元とはみなされない、なんてことを聞いたことがある。それでも、住宅を新築すれば、いやおうなく町内会や自治会などとお付き合いすることになる。「告朔餼羊(こくさくのきよう)」という言葉もある。新参者にとっては、因習めいて無駄に感じるのでも、多くの人が大切にしているものを、無下に否定したところで、あまりいいことはない。


 ということで、町内会から頼まれた敬老の日のお祝いをもって、お年寄りのいるお宅にご挨拶をしに伺った。


 80や90過ぎて、お元気でお暮しのおじいさんやおばあさん。こんな機会でもないと、なかなかお年寄りにお会いする機会がない。ほんとずっとお健やかに過ごしてほしいものである。


 そうかと思えば、20年以上、寝たきりのお年寄りもいる。介護等級5ともなれば、家族の負担も半端ではない。災害、病気、事故などは、できれば経験したくないものだ。でも、「老い」だけは、どんな偉人だろうと、必ず向き合わなくてはならない。


 苦痛から逃れたくて「早く死にたい」ともらす寝たきりのお年寄りに、「がんばって」などと言えたものではない。かといって「早く死になさい」とも言えるわけがない。それを、逃げることも許されず、多大な労力を払って支えている家族の苦労も察せられる。かける言葉が見つからない、というのはまさにこのことだ。


 「いつでも、声がけしてくださいね」


 近くにいるよ、と、できるだけ明るくお伝えして、敬老の日のご挨拶を終えた。


 新築を決めたとき、最初に考えたのが、バリアフリーやユニバーサルデザイン。展示場巡りをしていたころ、敷居とか段差とか、丹念にチェックしていたのを思い出す。


 一条工務店のアイ・スマートは、1スパン910ミリ(3尺)で設計されるが、2×6工法で、断熱材が厚いため、実際の廊下の幅は、それより狭い。特にドアは、そのスパンの内側に取り付けられるので、通れる幅はさらに狭くなる。JIS規格で定められた車いすがぎりぎり通るか通らないかである。あまりぎりぎりだと、介護する方が大変なのだ。どうしようかと思ったのだが、ユーザーの声が大きくなれば、JIS規格の方も変わるだろうと楽観視した。


 新築するとき、たくさんの方のブログを拝見して、勉強させていただいたが、バリアフリーやユニバーサルデザインについては、なかなか拝見する機会が少なかったように思う。敬老の日を前に、そんなことを思い出した。


 青空には、赤とんぼがいっぱい飛び交っている。すっかり黄金色に色づいた田んぼと、いいコントラストだ。こんな素敵な風景を見ることができて幸せだ。見えるうちに、聞こえるうちに、やれるうちに。毎日を大切にお過ごしください。