計画換気と間取り

 窓を開ける。春の土の香りのする空気がすっと入ってくる。桜は五分咲きと言ったところだろうか。


 この季節、花粉症に悩まされる人も多い。始終くしゃみやら鼻水やらで気の毒に思う。花粉もウイルスも人体にとっては異物。くしゃみやら鼻水やらは、異物に対する抗体の反応の結果だ。気休めなのは、花粉はウイルスと違って、人体の中で勝手に増殖することはないので、外部からの侵入を防ぐだけでよい。その場合は、窓を開けずに換気システムを活用することになる。


 一条工務店のアイ・スマートの換気システムは、ダクト式の第一種換気と、ダクトなしの第三種換気の組み合わせだ。


 


 もうちょっと勉強すれば良かったなあと思うのが、間取りと計画換気の関係を意識することだった。


 浴室、トイレ、キッチンは、湯気やにおいが発生するので、第三種換気。全熱交換では、湯気やにおいは取れないからだ。強制的に外へ排気することで、部屋の気圧が下がり、陰圧となる。下がった圧力の分は、ドアに設けられた隙間から空気を取り込む。その空気は、第一種換気のロスカードで、外からフィルターを通して強制的に給気され熱交換した空気。


 その空気は計画換気の対象となる部屋の天井からのダウンフローとして給気される。大量の空気を送るクリーンルームでは、層流を保つためそのまま床から排気するのだが、一般住宅の計画換気の風量はそこまで大量ではない。だから供給された空気は各部屋のフローリングや畳から舞い上がったチリや花粉とともに、排気のある玄関ホールに集められる。空気は玄関ホールの天井から強制的に外に排気される。玄関ホールにたまったチリや花粉は、玄関から外へと掃き出せば良い。


 クローゼットや押し入れは、この計画換気の対象外だ。だから、外から帰ったら、花粉を払落し、外に干した布団はふとんたたきでぱんぱんとやる。


 せっかくの春の陽気。花粉症が気にならないなら、やっぱり窓を開ける。窓を開けたら風通しを左右するのは間取りだけだ。計画換気や熱交換や気密性能が意味をなすのは窓を閉め切っているときに限られる。


 窓を閉め切って、暖房や冷房を使うのは冬と夏のみ。


 排気ガスだらけの都会の街中は仕方ないとして、田舎の田園地帯なら、春の光に満ち溢れた外のすがすがしい空気を、開け放した窓から取り込むのもいいものだ。