雨の夜の外構

 雨降りの夜。食事を終えて、ダイニングキッチンのずっしり重たいサッシ窓を開ける。


 途端。


 アマガエルの大合唱が、飛び込んでくる。さながらオーケストラだ。ひんやりした夜気が、濡れた新緑の香りを運んでくる。思わず胸いっぱいに息を吸い込む。


 高音質の立体音響でも、耳だけで聞くことを前提にするので、肌や体で感じる音までは再現できない。


 外に出たくなる。やはり重たい玄関ドアを開けて、玄関アプローチを降りる。センサーライトがあたりを照らす。そのまま庭に続く土間コンクリートのプロムナードを歩く。


 木々の葉っぱの先っちょにしずくがたまり、そこにガーデンライトの暖かな光が反射してきらめいている。淡く照らされたアイボリーの家の壁には、樹形のシルエットが映り込み、そよぐ風といっしょに揺らぐ。まるでオーケストラの指揮をとるかのように。