ベトナム料理のお店

おしょうしな

 かつてご近所に定食屋さんがあった。店主が高齢なのと、売り上げが落ち込んで、閉店してしまった。そこに同じ名前で、ベトナム料理のお店が開店した。店主が笑顔で愛想をふりまき、たどたどしい日本語で、「いらっしゃい」と言うので、入ってみた。


 店内はベトナム人と思しき人たちであふれていた。若くて活気があって、もりもりご飯を食べていた。みんな日本語でない言葉でがやがたとおしゃべりしていた。高度成長期の日本もこんなだったんだろうなあと想像した。


 メニューには、名前も読み方もわからない料理がずらり。写真はついているものの、何を頼んでいいのかわからない。福岡の天神から開店の応援に来たというスタッフが、「パクチー、だいじょぶ?、これ、おいしい」と勧めてくれた。


 山盛りの料理。パクチーとレモングラスが効いて、なるほど美味しい。若い頃なら、よろこんでぜんぶ食べたのだろうが、とても食べきれなかった。料理の名前は思い出せない。料理の名前が覚えられないのも、大して食べてもいないのに、痩せずに、糖尿病予備軍になるのも、齢のせいだろう。


 家を建ててから5年。メンテは無償から有償になり、街の様子も変わってゆく。先日メンテに来た人が「10年なんて、あっというまですよ」と言っていた。その言葉が、すとんと腑に落ちた。


 新しく開店したベトナム料理のお店が、この次に行くときに、どんなふうになっているのかが楽しみだ。