お塩控えめの・ほ〇だし

 最低気温が10℃を下回るようになると、暖かい汁ものが恋しくなる。気密断熱住宅と言えど、ゴミ出しに出かけて、ひんやりとした空気に触れて、戻ってくれば、そう感じるのだ。


 余談だが、汁のほとんどない博多ラーメンと、汁がいっぱいの札幌ラーメンは気温の差によるものであろう。寒い季節に北海道で食べるラーメンは、ほんとうに体が温まる。スープカレーが札幌発祥というのも、寒い季節に現地で食べて納得した思い出がある。


 カップラーメンは手軽でとてもありがたいのだが、スープまで飲み干すと、やはり塩分摂取過剰が気になる。塩分は無くてはならないミネラルなのだが、摂取しすぎは良くない。


 食塩は塩化ナトリウムで、水に溶けると塩化物イオンとナトリウムイオンになる。神経の働きにはカリウムイオンとナトリウムイオンのバランスが必要だ。カリウムイオンは野菜に多く含まれる。草食動物ではカリウムイオンが過剰になるので、牛や馬には岩塩を与えたりする。


 カップラーメンに限らず、たいていの食品には、グルタミン酸ナトリウムとかイノシン酸ナトリウムとかが入っている。グルタミン酸やイノシン酸は昆布や鰹のダシの成分だが、粉末にするのにナトリウムを使っているのだ。不幸なことにグルタミン酸ナトリウムとかイノシン酸ナトリウムは塩辛いと感じない。それでナトリウムを過剰に摂っていることに気がつかないのだ。


 いきつけのスーパーの店頭に「お塩控えめの・ほん〇し」というのを見かけた。だしなんだから、もともと食塩は入っていないだろう、と成分を見ると、やはり食塩は入っていない。もしかして、グルタミン酸ナトリウムをグルタミン酸カリウムにしたのかと期待して、成分を辿っていくと、


「砂糖類(乳糖、砂糖)、風味原料(かつおぶし粉末、かつおエキス)、酵母エキス、小麦たん白発酵調味料、酵母エキス発酵調味料/調味料(アミノ酸等)、酸味料、グルタミン酸カルシウム、ポリグルタミン酸」


 グルタミン酸カルシウム!


 カルシウムかいっ!


 思わず感動してしまった。ナトリウムをカリウムに置き換える減塩食品はよくみかけるが、それだと腎臓に負担がかかる。薬事法違反になるから効能はうたっていないが、カルシウムなら、骨粗しょう症にも効果があるかもしれない。


 さっそく購入して、味噌汁に使った。うん、いける。自分でダシをとるほどまめな人は別として、ぐうたらしながら健康も気にかけたい人にはお誂えの商品だ。


 美味しく、手軽に健康であれば一番いい。