火災保険のメリット?

 台風から変わった温帯低気圧が通過した。一条工務店の住まいの体験館で、風速三十メートルを体験して、一条工務店のアイ・スマートならだいじょうぶと思っていても、ガタガタ音がすると少し不安になる。たとえ気密住宅でも直接屋根に響くような音は、室内にも響いてくるのだ。


 火災保険には入っているが、風災は入っていない。日本の北の地域は台風が直撃するリスクが少ないと見積もったからだ。行政の発行するハザードマップと土地の高低差、過去の災害の歴史から、川の近くにも関わらず、洪水のリスクが少ないと見積もり、水災にも入っていない。そのかわりに地域の皆様に配慮して類焼特約はつけてある。


 物事を見るとき、メリットとデメリットで箇条書きにして比較するとわかりやすいこともある。


 でも火災保険に入るメリットなんてあるだろうか。そもそも自宅が火災になって、誰にメリットがあるのだろう?メリットとデメリットだけを箇条書きにすると見逃しやすいのがこのあたりだ。


 物事を見るとき、メリットとデメリットで見るより、メリット、コスト、リスクの三つ巴で見た方が全体を把握しやすいこともある。また誰の立場かを意識することも大切だ。


 保険はリスクを補償する。皆でコストを支払って、運悪く被災した人を補償することで、その人の早期社会復帰を促し、社会全体のメリットを社会全体で享受する。保険とはそういう商品である。


 商品である以上、商品を開発する会社と、開発された商品を売る店がある。それが保険会社と保険代理店である。家電メーカーと家電量販店の関係に例えるとわかりやすい。同じ商品でも買うお店によって値段が変わる。どのメーカーの商品をどのお店から買うかだから、商品が保険というだけでふだんの買い物と何ら変わらない。ちなみに一条工務店の関連会社にも保険代理店がある。その際、購入できる保険は、一社に限定されるが、販売価格はかなり安い。


 新築した物件が火災になって損害を被るのは、施主だけとは限らない。融資している金融機関は債権回収できなくなるリスクを下げるため、建物に抵当権を設定したりするが、それでも建物が被災すれば債権回収ができなくなる。だから融資をしている金融機関は、関連の保険代理店から火災保険を購入することを融資の条件としたりする。だから保険は資金計画の最初の段階から計画に組み込むのがいい。


 耐震等級3の一条工務店のアイ・スマートなら、ほとんどの保険会社の地震保険は半額で買える。これは施主のお財布に優しいから施主のメリットかと言えば、それだけではない。社会全体のメリットなのだ。地震で町全体が壊滅したら、被災した人も大変なことになるが、保険会社も保険金を支払えなくなって、保険会社も破綻する。みんなが少しずつ余計に散財して地震に強い建物を建てたら、被災のリスクが少なくなるから、保険の方もお安くしておきましょう、とそういうことだ。


 みんなが努力している、ということが保険の大前提だ。自動車保険に入っているから危険な運転をしてもいいとか、健康保険に入っているから暴飲暴食してもいいとか、そういうことでは保険が破綻する。このような状況はモラルハザードと言われ、そうなると保険会社は保険の値段を上げざるを得ず、みんなが不幸になる。結局は、耐震強度が高いとか長期優良住宅とか言うのは、メリットとデメリットというより、むしろモラルの問題なのだ。


 損害保険ではないが、最近、就業不能保険、介護保険などの新商品が次々と売り出されている。フラット35でローンを組んだとして、35年後の払い終わりの年齢まで健康で働ける確率はどれくらいか調べたことがあるだろうか。不謹慎な話、死んでしまえば生命保険で補償されるが、医療の発達のおかげで、ちょっと体が動かなくなったぐらいでは、あの世からお迎えに来てくれそうにない。そんなところも、資金計画の最初の段階から計画に組み込む時代に入ったようだ。


 介護保険を円建てにするか外貨建てにするか。国際情勢からみて今後の為替リスクをどう読み解くか。住宅に関する話は、将来の国際情勢までつながってくる。深いなあ。植物の水やりは、健康を維持するための運動として推奨されているので、まずは運動がてら温帯低気圧でひっくり返った鉢植えをもとに戻すことにしよう。