テレワークと壁紙(クロス)の色

 起きたら銀世界に吹雪。冬に逆戻り。テレワークはコロナウイルスばかりでなく、こういった気候の変動にも役に立つ。窓から眺める分には趣のある風景でも、積雪の路面は車両の運行を阻み、吹雪は運転手の視界を奪う。テレワークですべての仕事が終わるとは思えないが、ホワイトカラーの仕事の大部分はテレワークとAIで終わるだろう。生産性が向上し、ワークライフバランスの実現へも近づく。人間がそういう新しい環境に適応するのはもう少し先のことかもしれないが。


 注文住宅で選んで決めなくてはいけないもののひとつに壁紙(クロス)がある。居住空間の雰囲気を決めるのに大切な要素だ。一条工務店のアイ・スマートでは、準不燃を選ばなくてはならない。皺がよるとかそんな理由だったように思う。施工では角で巻き込みをせずカット加工だ。躯体の伸縮に伴いどうしても割れが生じるので、あとの補修コーキングがしやすいとのことだった。いずれにしろメンテナンス性を考慮してのようなので、経験豊富な営業さんを信頼するしかないところだ。


 壁紙を特徴づけるのは柄とエンボスだ。柄の方はカタログでわかるのだが、エンボスの方は実際光を当ててみないとわからない。展示場から壁紙のサンプルを借り出して昼光色や電球色のランプをいろいろな角度から照らして確かめたのを覚えている。まだ立てていない居住空間の照明と雰囲気を端切れの壁紙サンプルから決めるというのだからまさに想像力勝負だ。


 平屋の場合、どうしても部屋が暗くなりがちなのと、視認性向上のため、白を基調として壁紙を選んだ。お花が映えないのは嬉しくないので、キッチンの一部と床の間には濃いめの色を配置。あとは病院みたいに陰気くさくならないようトイレにも爽やかな色のアクセントクロスを配置した。


 で、ここに来てコロナウイルス対策の一環としてテレワークを積極的に導入。


 テレビ会議システムなどで使うビデオ通話のほとんどは背景をぼかしたり、仮想背景を設定したりできる。散らかりまくった自宅を会議で公正明大にさらすのはちょっと恥ずかしいのでそういう機能があるのはありがたい。


 濃い色のアクセントクロスをもう一か所つけておけば良かった、と思ったのはそのときだ。


 テレワークの背景設定の際、アプリは背景を識別するのに背景色を識別してそこをぼかしたり仮想背景を設定したりするのだ。壁紙が白だとアプリが壁を背景として識別してくれない。カスタマイズ設定があるにはあるのだが、白を背景として設定すると、ワイシャツも背景と認識して、かすれた顔だけの透明人間みたいなことになる。


 スタジオみたいなブルーバックの背景とまではいかなくても、テレワーク用の濃い色のアクセントクロス欲しかったなあ。さすがに住宅の設計途中の壁紙を選ぶ段階では、テレワークの背景のことまで思い及びませんでした。はい。