断熱性能は、暑い

 夜になって、あたりからコオロギやウマオイの鳴き声が聞こえ始めると、まだ昼の暑さが厳しいとは言え、秋の気配を感じる。すこしひんやりとした夜気の中を、星空を眺め、庭を一巡りして、家に入る。


 暑い。


 断熱性能に優れたアイ・スマートは、夜になって外気温下がっても、熱がこもったままになるため、なかなか室内の温度は下がらないのだ。


 室内温度は、29℃。外気温は、24℃。昼から、ずっと、すべての窓を開け放しているのに、室内温度は下がらない。外の温度は、ぐんぐん下がっていくにもかかわらず、だ。今夜のように風のない夜は、特にそうだ。扇風機を、窓の近くにおいて、悪あがきをしてみる。あまり効果はない。間取りを考えるとき、風通しを考えてはいたものの、頭の中で思い描くものと、実際はやはり違う。


 夜は太陽光も使えないので、エアコンを使うかどうか悩ましい。ここでエアコンを使っては、アイ・スマートは、ぜんぜん省エネ住宅ではないのだ。


 こんなときは、古民家の涼しさがうらやましい。


「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」


 とは、室町時代の徒然草。家を作るときは、夏の住みやすさを優先するべき、とある。


 しかし、上方と違って、雪深いこの地にあっては、冬は、どんなところにでも住める、とは言い切れないところもある。


 窓や断熱材の都合で、扇風機を置きたいところに、壁コンセントがない、というのも、残念なところだ。


 扇風機とエアコンと、どちらにするか悩みながら、夜気をあびに、庭に涼みに出ることになりそうだ。