室外機の設置場所と外気温

 エアコンやエコキュートの効率は室外機で決まる。


 熱は温度が高い方から低い方へ移動する。低い方から高い方へは移動しない。エアコンやエコキュートの室外機の正体は、この原理を利用したヒートポンプだ。


 夏の暑いさなかに、室外機の中を外気温より熱くして、室内から屋外に熱を汲みだす。あるいは冬の寒いときに、室外機の中を外気温より冷たくして、屋外から室内に熱をくみ取る。それがエアコンやエコキュートの室外機だ。


 だから室外機は、夏は涼しい北側、冬は暖かい南側に配置するのが良いことになる。もちろん風通しが良い場所がいい。しかし季節ごとに室外機を移動するのは、非現実的だ。そこで風土にあわせて設置場所を選ぶことになる。


 寒冷地では、家庭で使うエネルギーの半分が暖房費だ。寒いのだから仕方がない。日照の少ない寒冷地の冬では日光は貴重だ。南側は採光ための窓を優先したい。エアコンを冷房にして使う夏に、室外機を涼しい北側に置くのはいい。しかしエコキュートで床暖房を使う冬に、室外機を寒い北側に置くのは考え物だ。室外機の中を氷点下の外気温より冷たくすれば、空気中の水分が凍り付いて霜ができる。室外機は霜取りのため間欠運転が余儀なくされる。しかも積雪で室外機が埋もれれば風通しも悪い。


 その点、燃焼は暖房の最も強力な手段だ。これは熱を作っているから、わざわざ熱の少ない冬の空気から取り込まなくて良い。室外機の設置場所に頭を悩ませる心配もない。地域で薪ストーブが人気なのも頷ける。


 一条工務店の営業さんの


 「オール電化とガス併用とどっちにしますか?」


 との問いに、問いかけで返す。


 「皆さんはなぜオール電化なんですか」


 あまり明確な答えは得られない。強いていうなら実績が多いから安心ということだろうか。


 寒冷地では、もともと省エネには限界がある。一年でもっともエネルギーを消費する冬に日照が少なく太陽光発電も期待できない。発電所で石炭を燃焼して発電し、その電気でヒートポンプを動かし熱の少ない冬の空気から汲み出すか、それとも自宅でガスを燃焼して熱を直接作り出すか。


 ちなみにヒートポンプだろうと燃焼だろうと作り出した熱に区別はない。気密断熱による省エネ効果はどちらにも同じように期待できる。